人間の種類に即したダイエット・1(野口整体の体癖論より)

このところ、お客様からダイエットについて質問されることが増えてきました。

特に糖質制限について聞かれます。

やっぱり流行っているんでしょうね。

ダイエットについて書きたいな、とずっと思っていましたが、

とりあえず私がダイエットについて語れるような体型ではないので、なんとなく控えていました。

ちなみに、結構ぽっちゃりです(´∀`)ゞ。

 

ダイエット…、私はまあ、このくらいでいいかなと

40代に突入して以降、急速にぽっちゃりが進行した私ですが、年ですし、多少ぽっちゃりしているほうが長生きできるというデータもありますし笑。

健康を損なうほどぽっちゃりが進行した際には、もう少し真剣に考えますね(^ ^ゞ

 

そんな私ですが、あまりにもお客様からダイエットについて聞かれることが多いので、以下、ぽっちゃりした整体師の話として、気楽に読んで頂ければ幸いです♪

さて、私も健康に関わるお仕事をしている以上、できるだけ健康関連の本や情報には触れるようにしていますが、

日々、様々なダイエット法が流行しては消えていき、ドラッグストアにはダイエットサプリや置き換え食品が沢山並んでいます。

一方で、過食嘔吐などの摂食障害に苦しむ女性は増える一方だということです。

当院にお越しになるお客様も、「芸能人の〇〇さんのような体型になりたいのに…」とか、「太る体質だから一年中ダイエットしていないとダメなんです」などとおっしゃる方がいらっしゃいます。

今日はそのあたりについて、私の思うところを書いてみます。


ダイエットに悩むお客様に、私が最初にお伝えするようにしていることは、「人間には種類がある」ということです。

これは整体的には最低限の前提となることですので、是非押さえてくださいね。

チワワはドーベルマンにはなれませんし、逆もまたしかりです。

自分が決してなれないものを目指して自分にムチ打つのは不幸でしかありません。

 

さて、古来いろんな人が色んな方法で人間を分類してきました。

古代ギリシア医学のヒポクラテスの四体液説を発展させて、中世ヨーロッパでは人間を多血質・黄胆汁質(胆汁質)・黒胆汁質(憂鬱質)・粘液質の四気質に分類したり、

西洋占星術から派生した中世の医療占星術では、木星・火星・金星・土星と人間のタイプに相関関係を見ていました。

ユング心理学のC.G.ユングは、人をまず内向性と外向性に分類した後で、さらにそれぞれの中の思考・感情・感覚・直感の4タイプに、合計8種類に分類しました。

クレッチマーという精神科医は、人間を体型別に3気質に分類し、体型と気質は結びついていると考えた上で、人間を6種類に分類しました。

エニアグラムという性格論では、人間を9種類に分類しています。

星占いでは、12星座別に人間の性格を分類しています。


そんなふうに色々な分野で、人間の分類は試みられてきました。

もちろん、多様な個性を持った人間をたったの数種類に分類などできるわけがない、というご批判もあるでしょう。

けれど、上記に挙げたような分類法を詳しく調べてみると、全面的に賛同できないとしても、ある側面から見ると一定の妥当性があり、

どの分類法であっても、自分がいずれかの分類にかなり当てはまっていると感じられることもあるでしょう。

なぜそのような分類をする必要があったかというと、特に医学の分野では、何よりも治療上、「人には向き不向きやかかりやすい病気がある」ということを明らかにする必要があったからだと思います。

 

野口整体では野口晴哉さんが、「体癖(たいへき)」という考え方によって、人間を10種類+2種類に分類しました。

野口さんが患者さんの身体に数多く接しているうちに、例えばただ風邪をひくだけでも、

呼吸器の風邪をひきやすい人、胃腸の風邪をひきやすい人、頭が痛くなる人、泌尿器系にトラブルが出る人など、

人それぞれ弱点があることに気付きました。

本人が身体が弱いと言っていても、例えばそれは「お腹を壊しやすいけれど呼吸器は丈夫」ということだったり、人にはそれぞれ、丈夫な部分と弱点があるのです。

 

野口さんのすごいところは、身体のどこに弱点があるかによって、体つきや体質や性格、顔立ちや肉付きや骨格などがある程度似通っていることに気付き、それによって人間のタイプを分類できることを発見した点です。

例えば、考えすぎて頭が疲れ、胃が痛くなりやすい人は、身体が上下に歪みやすく、やせ型でひょろっとした体型で、思索や空想にふけりやすく、物知りで話が面白いとか(1種2種上下型)、

呼吸器の風邪や咳の出やすい人は身体が前後に歪みやすく、体型は逆三角形型で、体育会系で活動的、性格的にも爽やかな人が多いとか(5種6種前後型)、

泌尿器系のトラブルを起こしやすい人は、身体が捻じれる方向に歪みやすく、角ぱっているか洋ナシ体型で、負けず嫌いで権威を嫌うとか(7種8種捻れ型)。

(すみません、ホントはもっと分類は細かくて、奇数種と偶数種でも全く体型も性格も違ってくるのですが、ここではそこまで細かくご紹介できませんので、ザックリしています)


野口さんがそうやって分類していくうちに、これらの体癖によって、腰の部分の背骨(5つの腰椎)の中で歪みやすい背骨が違うことを発見しました。

1種2種の人は腰椎1番(腰椎の一番上の骨)、5種6種の人は腰椎5番、7種8種の人は腰椎3番が歪みやすいというふうに。

この腰椎は、対応する体癖の人にとっては歪んでいるのが普通なのです。

ほかの骨が歪むと調子を崩しますが、その体癖に対応する腰椎は、歪んでいなければ調子が出ないのです。

 

さらに、これら10種類の分類に加えて、体が敏感であるか鈍感であるかにより、11種12種を分類しました。

この体癖は基本的に先天的にもって生まれたものです。

詳しくはとてもここには書ききれないので、興味のある方は野口晴哉さんの著書を読んでみてくださいね。

野口晴哉『整体入門』、『体癖』、『風邪の効用』は、いずれもちくま文庫から出ています。

野口さんの語り口も軽妙で、とっても面白いですよ!

 

この体癖論は、ただ患者さんの症状だけを聞き、そこに適応する薬を処方するという、3分診療の現代の医学ではたどり着けない発想です。

なぜなら、治療者が患者さんに親身に関わり、患者さんの性格や体質を熟知できるほどに体の歪みを観察していなければ、

体の弱点や体型や性格は全て相関関係にあるということに気付くことはできないはずだからです。


さて、前置きがものすごく長くなりましたが、整体的に見ると、以上のように人間には種類があるのです。

皆さんの周りには、

どんなに食べても太らず、食いしん坊なのにガリガリに痩せている人とか、

そんなに食べていないのに肥満体型で、太っているのに快活な人とか、

とにかく動くのが大好きで、いつもじっとしていないアウトドア派なのにお腹が出ている人とか、

インドア派でたいして運動していないのに、痩せてヒョロっとしている人とか、

いらっしゃると思います。

 

もちろん、普段から不摂生と言えるほどに大量に高カロリー食を食べているせいで太っている人はさておき、

常識的な範囲内で普通に食べたり動いたりしていても、痩せてしまう人と太ってしまう人は出てくるものなのです。

それは、端的に言って、人間の種類が違うのです。(これは白人とか黒人とか黄色人種とかの人種区分とは全く異なる分類です)

本人の生活習慣のせいでも、親の育て方のせいでもありません。

 

よほどの不摂生をしている人を除けば、

太っている人が怠惰で自己管理ができていないわけでも、

痩せている人が自己管理の行き届いた真面目な人というわけでもないのです。

また、骨格がガッチリした人や筋肉質な人は、どんなにダイエットしても華奢な体型にはなれません。

肥満体型で快活な人が無理なダイエットすると、かえって元気を失って、健康診断の結果が悪くなることもあります。


9種の人は気持ちが充実してくると痩せてきますし、10種の人は太れば太るほど体調が良く感じます。

例えば、マツコ・デラックスさんが健康診断を受けたら、医師が驚くほど何も異常のない健康体だったというエピソードを聞いたことがありますが、

私の個人的な予想ですが、恐らくマツコさんは10種体癖だと思います。

それはマツコさんの大らかで一緒にいるとホッとするようなオーラを持っているところからもよく分かります。

10種の人は明るく人を惹きつけるオーラを持っている人が多く、自然と人が集まってきて、いつもその輪の中心にいるような人が多いのです。

ちなみに同じ芸人さんでも、恐らく、明石家さんまさんは1種(話が面白く話を盛る傾向)、松本人志さんは8種(反骨精神)、タモリさんは9種(オタク気質)だと思います。

皆さんそれぞれ面白い芸人さんですが、確かに性格も芸風も体つきも違いますよね。

 

少し話がそれましたが、このように、それぞれの持って生まれた体癖の特徴を否定するのではなく、その体癖の良さが最も発揮できる健康な状態を目指すべきなのです。

それぞれの体癖の中で、より健康的な状態と不健康な状態というのはありますが、

「万人に当てはまる健康な状態」「万人に当てはまる効果的なダイエット法」というものは、整体的にはそもそも存在しません。

それをひとまとめにして、万人に有効な健康法、万人に有効なダイエット法とするのはそもそも無理があるのです。

 

グラマラスなマリリン・モンローの美しさと、スレンダーなオードリー・ヘップバーンの美しさは違いますよね。

それはそれぞれの持つ個性を活かした時、そこに現れる美しさが異なるからです。

マリリン・モンローがオードリー・ヘップバーンを目指してダイエットしていたら、不幸なことになっていたと思います。

ですから、ダイエットして美しくなりたいというのは結構ですが、持って生まれた自分の個性を活かす美しさでなければ意味がないということです。


長くなってしまったので、次回に続きますね♪