人間の種類に即したダイエット・3(野口整体の体癖論より)

こんばんは。整体処せせらぎです。

 

少し間が空いてしまいましたが、今日は引き続き前回からの続きです。

まだお読みでない方は、

人間の種類に即したダイエット・1」、「人間の種類に即したダイエット・2

からお読みくださいね♪


これまでにお話してきましたように、人間には種類があり、自然体で常識的な範囲内の食生活を送っていても、太ってしまう人、痩せてしまう人はいます。

同じ太っているのでも、筋肉太り、皮下脂肪型肥満、内臓脂肪型肥満など、色々なタイプがあることは、皆さんもご存知でしょう。

それらはすべて、身体の種類が違いますから、本来は、どの体型が正常で、どの体型が異常だとかを、他人が線引きして区別するようなものではないのです。

それでは、その人の体型が正常か異常かを、どのように判別すれば良いでしょうか。

それは、あくまでも、ご本人の快・不快を基準にするべきです。

その体型で過ごすのが快適で、身体に関するお悩みがないのであれば、

それが多少標準より太りすぎたり痩せすぎたりしていても、ご本人にはその体型が合っているということです。


当院のお客様のダイエットのお悩みに多いのは、以下のようなタイプです。

肩こり・腰痛やだるさや頭痛や生理不順などを訴えて初診にお越しになり、

「こんなに太っているせいで体調が悪いんだと思うんです」と、現在もダイエットを続けているような方。

聞けば、置き換えダイエットや、糖質制限や、ダイエットサプリ、酵素ダイエットなど、これまでに様々なダイエットを繰り返しておられ、

一時的に成功しても必ずリバウンドし、太ったり痩せたりを繰り返しているような方です。

そして、ダイエットすればするほど、体調が悪くなっていくのです。

 

いかなるダイエット法であれ、カロリー制限をすると、必ず脂肪よりも筋肉から落ちます。

筋肉は重いので、それで一気に体重が減ったように感じてダイエットが成功したかと錯覚しますが、

身体には基本的に恒常性という働きがあり、ダイエットをやめた途端に急いで一番バランスの取れる体型に戻ろうとします。

そこで手っ取り早く体型を戻すために、筋肉ではなく脂肪によって体重を戻します。

ですから、カロリー制限をすればするほど、筋肉は減り、代わりに脂肪が増えていくのです。

それだけでなく、カロリー制限をすればするほど、骨密度は減り、貧血状態を招き、身体はどんどん不健康になり、体力は低下し、体調は悪化していきます。


このような方の場合、身体が異常だから太っていたのでしょうか。

痩せないことは異常なのでしょうか。

筋肉を失い、骨密度を減らし、貧血になっても、痩せれば正常なのでしょうか。

 

そうではありません。

身体は、必要があって太ろうとしていたのです。

 

私達は日々、心臓を動かそうと思って動かしているわけではありません。

そのほか、消化吸収、呼吸、代謝、血液循環、体温調節、生殖機能、免疫、ホルモンの分泌など、

あらゆることは、私達が意図することなく、自律神経の働きにより身体がせっせと行っています。

全ては生命を維持するためです。

 

全てはバランスを取り合っており、何が欠けてもより健康的な生命の維持は困難になります。

私達の理性が、それらをより良くコントロールできると考えるのは傲慢です。

 

ダイエットというのは、24時間365日、健康的な生命の維持のためにせっせと働いて、最善のバランスを取ってくれている私達の身体に対して、

その場の思いつきだけで、一時的に摂取する栄養を制限をして、身体の働きを混乱させる方向に介入することです。

ダイエット関連の食品やエステ等はもはや巨大な市場になってしまって、ダイエットは体に良いものだとさかんに喧伝されていて、私達の感覚も麻痺してしまいがちですが、

基本的に、それらは一時的であれ健康な身体を混乱させ、栄養不良状態を招くためのものであることを忘れてはなりません。

 

それは自己管理という名のもとに、私達の身体をいじめていることにほかなりません。

決して健康産業ではありません。不健康産業です。

その先に手に入れた身体は、痩せてはいても、決して健康な身体であるはずがないのです。

この点からすでに、「痩せている=健康」の図式は成り立ちません。


もちろん暴飲暴食はいけませんし、病的な肥満は改めるべきですし、糖尿病や糖尿病予備軍の方は糖質を控えることが有効です。

けれど、ほとんどのダイエットに悩むほとんどの日本人は、痩せる必要がない健康体でありながら、

「BMI値で見ると太っている」「芸能人やモデルさんに比べて太っている」「洋服をカッコよく着たい」などの理由からダイエットを始め、

その結果、多くの方が健康な身体を失いつつあり、その体調の悪さに苦しんでいます。


お客様に質問されて、私も糖質制限に関しては、最先端と言われている本をかなり読みました。

今までのカロリー制限ダイエットの間違いを指摘する新しいアプローチとして、とても有益な学びをさせて頂きましたが、

それらの本にはたいていの場合、糖質をとりすぎれば将来糖尿病になる、というような強引な話が展開されています。


でもそうではないのです。

暴飲暴食でもしない限り、糖尿病にならない人は、なりません。

それは体癖や遺伝といった、持って生まれたものによってかなり運命づけられています。

(はるかに肥満度の高い欧米人よりも、小柄でそれほど太っていない日本人のほうが糖尿病になる確率が高いのは、糖尿病が食生活以外の要因が大きいことの証です)

糖尿病予備軍でもない人が、わざわざお寿司やラーメンのおいしさを自ら手放す必要はありませんし、

代々美味しいお米を作ってきてくださった日本の米農家さんにわざわざ打撃を与える必要もありません。

 

さて、当院に定期的にお越しになっているお客様は、ある程度身体が整ってくると、自然と体重が落ちてくる方が多いのです。

(もちろん「すぐに」ではありません。最低半年程度はメンテナンスに定期的に通って頂く必要があります。)

お客様にはカロリー制限や極端な食事制限はしないようにお伝えしていますし(糖尿病予備軍や何らかの持病をお持ちでない限り)、自然体で過ごすようにして頂いています。

それでも、自然と体調が整い、気付いたら数か月かけてゆっくりと数キロ落ちていた、という方は珍しくありません。(もっともガリガリに痩せるわけではありません。)


ひとつには、骨盤が整い、柔軟に開閉できる骨盤になることによる体型変化が考えられます。

(ただし、自己流で骨盤を閉めないでください。かえって身体を壊します。)

 

あとは、身体の歪みが整って、左右のバランスが揃ってくることによって、身体が余計なおもりを付けなくてよくなるからではないかと私は考えています。

ヤジロベエの体が、なぜ針のように尖った足で立っていられるかといえば、左右の重心のバランスが取れているからです。

人間の身体は、6kgもの重さのある頭を支えるために、皿回しの皿を回すための棒のように、常に微妙にバランスを取ろうとしています。

例えば頭を右に傾ければ、必ず右肩が上がってきます。

これは頭の重心の変化に対応して身体が歪むメカニズムのひとつですが、そのようなバランスを取る働きが全身各所で、常に絶え間なく行われています。

その結果、左右非対象に筋肉が発達したり、左右非対称に水分を貯め込む必要が出てきますし、これを無理に痩せさせたら、身体は頭を支えられなくなります。

全てはヤジロベエのおもりと、基本的に同じ原理によって起こっているのです。


人間の重たい頭を支えて、スムーズな二足歩行をするために、身体は太ったり痩せたりして、その身体に一番ふさわしいバランスを取ってくれています。

バランスのとり方は、人間の種類(体癖)によって様々で、どれが正しく、どれが間違っているというようなものではありません。

全ては私達の生命の維持のために、身体自らが導き出す絶妙なバランスなのです。

流行によって作られた「美」に左右されて、私達の生命がもっとも輝く、私達本来の「美」を失うことがないようにしたいものです。