かみ合わせの影響で坐骨神経痛・首痛・頭痛・肩こりなど、左半身に不調が集中している症例
横浜市からお越しの40代のA様は、医療系の専門職に携わる傍ら、小学生のお子様を育てるお母様でもあります。
若いころには海外の医療支援に参加されたこともあるそうで、極限状況での多くの人の死を目の当たりにされるなどの大変な経験をされてきています。
そうした悲しい思いや無力感にとらわれる経験をふまえ、だからこそ、今を楽しんで生きようと思うようになられたA様の言葉にはとても説得力があります。
現在のA様のお話や生き方はいつも前向きで明るく、いつも話していると元気になりますし、いつもさわやかな気持ちにしていただいています。
A様は、主に坐骨神経痛による左側の腰・お尻・太もも・ふくらはぎの痛みにお悩みで、当院にお越しになりました。
そのほか、肩こりや首痛、頭痛などにもお悩みだったのですが、それらの痛みのほとんどが身体の左半身に集中しているという特徴がありました。
これまで整形外科や鍼灸院など色々な治療を試されましたが改善せず、半ば諦めかけていたそうです。
お体を拝見すると、骨盤が右に傾いて左足のほうが短くなっており、左側のお尻や太ももが緊張しており、それに伴って左足に強いゆがみや緊張が見られました。
また、お顔の左側の頬(咀嚼筋とその周辺)に強い緊張があり、それに引っ張られて上顎・下顎ともに左上にずれています。
お顔にこのようなずれがあると、右の目尻から口角までの距離よりも、左の目尻から口角までの距離のほうが短くなり、お顔がゆがんで見えます。
このように全体的にお身体の左側が縮んでいると、ご本人はまっすぐに寝ているつもりなのに、上から見ると、若干ですがお身体が三日月状に弓なりになっているように見えます。
A様の場合も、ご本人はまっすぐに寝ているつもりなのですが、初診の頃は、いつも左に向かって若干弓なりになって寝ていらっしゃいました。
もしこの記事をお読みの方で、右半身や左半身、どちらか半身にばかり不調や痛みが出ているという方がいらっしゃいましたら、
仰向けに寝て、ご家族などどなたかに上から寝姿勢を見てもらってみてください。
もしお体がわずかにでも、右や左に三日月状に弓なりになっていましたら、その弓なりの身体をまっすぐに整えてもらってみてください。
すると、緊張していない側のお尻が浮いてしまうなど、全身が床にしっかり接地しないような違和感を感じられると思います。
このような方は、全身の緊張の左右差が半身の不調を引き起こしているのです。
身体がこのように歪んでしまう主な原因としては、頭の傾き、かみ合わせ、足やお尻への重心のかけ方、歩行時の左右の歩幅の違いなどが考えられますので、
お心当たりの方は日常生活で修正するように心がけてみてください。
ただし、たいていの場合その左右差はわずかなもので、ご自身の心がけで修正することは難しいことも多いです。
よく「片側にばかりカバンをかけるのがいけないのでしょうか」「足を組むのがいけないのでしょうか」等と質問されることがありますが、
もちろん修正できるのであれば修正するに越したことはありませんが、
片側にばかりカバンをかけたくなるのは、反対側にかけるとずり落ちてしまうからですし、
足を組みたくなるのは、椅子に左右のお尻が均等に体重を乗せられないからです。
その時点ですでに肩や骨盤が傾いているということですので、カバンの片側かけや足の組み方は歪みの原因というよりは結果だと思われます。
このようにして長年無意識に蓄積された歪みは、ご自身の心がけだけでは修正できないことも多く、特に古傷をかばって歪んでしまった場合など、複雑な歪み方をする場合もあります。
お心当たりのある方、自分では修正できそうにないという方は、当院にご相談くださいね。
A様の場合は、20代の頃に左股関節を痛めたり、ぎっくり腰になったことがあるそうで、当時半年ほど痛みをかばって生活をしていたことがあるそうです。
その間に痛みをかばって知らず知らずのうちに、左半身が緊張するようになってしまったのかもしれません。
さて、A様の左足の歪みや緊張を取っていると
「あ、左のお尻がジーンと反応しています」
「あ、痛みが腰のほうに移動してきました」
「あ、左の肩が反応しています」
等とおっしゃいます。
まだ私はA様の足(foot)しか触っていない段階にもかかわらずです。
このジーンと反応する場所をA様自身の手で追いかけていただき、手の平で軽く温めるように押さえていただきますと、
反応する場所はお尻→腰→肩と移動していき、
反応の終わった箇所から順次、坐骨神経痛や肩こり・首痛の痛みそのものが(すべてではありませんが)消えていきました。
これは、A様の左半身の緊張や痛みが一続きにつながっていることを示しており、相互に引っ張りあって痛みを引き起こしていたということです。
これまでA様は様々な治療院に通われましたが、腰やお尻などの痛みのある場所にアプローチするだけでは改善しなかったのはこのためです。
そのような場合、このように足や頭などの身体の末端の調整だけで全身の大半の歪みが調整できてしまう方は非常に多いのです。
このようにして足から骨盤まで、下半身を調整してしまえば、のこりの上半身の調整はとても楽になります。
A様の場合は頭の歪みもありましたので、顎や側頭骨のずれを中心に頭を全体的に調整して、咀嚼筋を中心とした頬の緊張をゆるめました。
この顎のずれや咀嚼筋の緊張はかみ合わせの影響も大きいため、整体だけではフォローしきれない面がありますが、
それでも2~3週間おきに根気よく通ってくださった結果、痛みの出る頻度や痛みの強さはずいぶん軽減しました。
当院でかみ合わせをいじることはできませんが、頭や顎の歪みをできるだけ正しい位置に整えておくことにより、かみ合わせが変わってくることはあるのです(歯は毎日動いていますから)。
A様が3回目のご来院後に書いてくださった感想です。
痛みやお悩みの変化(耐えられない状態を10、全く問題のない状態を0とした場合)
坐骨神経痛 整体前8→整体後2
施術前は仰向けで寝ると、腰・おしり・ももの痛みがつらかったのですが
施術中にその痛みがすーっと無くなってしまいました。
今までいろいろ試してきたけれど、何をやっても良くならなかったので
この痛みとずっとつきあっていかなければいけないと思っていましたが
こんなにも楽になってしまい、気持ちまで楽になって驚いています。
(整体師は)とても丁寧にこちらの症状を聞いてくださり、
「治るかもしれない」という安心感・信頼感が持てる方です。
A様、嬉しい感想を書いてくださり、ありがとうございました。
A様は上の感想を書いてくださった後もメンテナンスのために定期的に来院してくださっています。
ハードなお仕事をされていることもあり、痛みのない状態を長期間キープするのはまだ難しいのですが、
痛みがぶり返した時にも、その痛み自体が初診時よりはるかに軽くなっており、日常生活が楽に送れるようになっているそうです。
先日はGW中、さくらんぼの最盛期にお越しくださったので、施術の後でご一緒にさくらんぼ狩りを楽しみ、たくさんお持ち帰りいただきました。
↑さくらんぼを摘むA様。
お店に売っているような甘いさくらんぼではないのですが、酸味のある自然な味をお子さんと楽しんでくだったそうで嬉しかったです。
A様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ところで余談ですが、記事中に触れたかみ合わせについて少し触れておきます。
お客様の中にはかみ合わせの影響を強く受けていらっしゃる場合があり、整体でせっかく治した歪みが、かみ合わせの影響ですぐに戻ってしまうことがあります。
そのため、「この辺の歯がもう少しこういう風にかみ合ってくれたらこの症状も簡単に消えるのにな」と悔しい思いをすることもあります。
歯は人間の骨格の中で唯一、皮膚(粘膜)の外側に突き抜けていて、自由に大きさを変えることができ、虫歯や抜歯により変形することも多い、非常に特殊な器官です。
そのように不安定な要素をを持ちながら、頭の重心を決めるというとても重要な役割を担っています。
頭の重心は首の骨よりも前方にありますので、歯が一本低くなるだけでもかみ合わせ全体が影響を受けて、頭の重心が狂います(筋肉があまり発達していない方や筋力が弱っている方の場合特に)。
5~6kgもの重さのある頭の重心が狂えば、頭痛や首痛が起きたり、全身の重心が狂うことによる全身の症状が起きても何ら不思議はありません。
かみ合わせが左右にずれれば全身が三日月状に傾きますし、顎がねじれるようにずれれば、全身がねじれて側弯症などを引き起こすこともあります。
いくら私にそれがわかっても、歯科医師免許を持たない私が歯に触ることはできませんので、そういう意味ではいつも無力感を感じています。
ただ、歯やかみ合わせは毎日わずかに動いていますので、私にできることは、できる限り歯以外の骨格を整え、緊張をゆるめ、歯を正しい位置でかみ合えるよう誘導することです。
(歯そのものは動かせませんが、かみ合わせに直結する上顎骨や下顎骨を整体で動かすことは簡単です。)
ただし、全身のバランスや不調とかみ合わせの関係を正しく診られる歯医者さんはほとんどいませんので、安易にかみ合わせをいじらないようにしてください。
歯を削るのは簡単ですが、盛り足すことは困難ですので、安易にいじるとかみ合わせはかえって悪化する可能性が高いです。
ただ、もし虫歯や抜けた歯を放置している方がいましたら、そういう方は一刻も早く信頼できる歯医者さんで治療を受け、かぶせものやブリッジや入れ歯等で正しいかみ合わせを回復するようにしてください。
また、歯並びが悪いこととかみ合わせが悪いことは関係ありません。
歯並びが悪くてもかみ合わせは問題ない人は大勢いますし、歯列矯正をして歯並びを整えてからかみ合わせが悪化して全身症状が出るようになる方もいらっしゃいます。
歯列矯正をする場合は、レントゲンだけでなくCTなども撮って3次元的にかみ合わせを考えてくれる専門医にお願いするようにしてください。
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