ハイヒールの害
今日は、ヒールの高い靴を履くことの害についてお話します。
ハイヒールを履くと足の骨がずれ、全身が歪む
足首の骨は、簡単に言うと、踵の骨の上に、小さなつなぎの骨・距骨(きょこつ)が乗っていて、その上に、二本のすねの骨が乗っています。
図にすると、こんな感じ(脚を後ろから見た図です)
∣∣ ←すねの二本の骨
∘ ←距骨
☖ ←踵の骨
踵とすねの骨の間の、距骨という小さな骨がボールジョイントのような役割を果たすことによって、足首はかなり広範囲に回転することができます。
例えばプラモデルのロボットなどの可動関節部分には、球状のパーツがあることで、自在に関節を曲げることができますよね。
距骨は球状ではありませんが、役割としてはボールジョイントと同じような役割を果たしています。
さて、皆さんの足を、その場でつま先立ちのような形にしてみてください。
踵とふくらはぎが近づきますよね。
ヒールの高い靴を履くと、踵とすねの骨が近づいた状態のまま、そこに体重がかかります。
すると、踵とすねの骨が近づいた状態のままでも足首が安定して体重を支えられるように、骨そのものがずれてしまうのです。
具体的に言うと、つま先立ちによって体重が前にかかることによって、すねの骨は前にずれ、それに対応して踵の骨は後ろにずれます。
さらに、二本のすねの骨の間隔が広がり、すねの外側の骨は下に下がります。
こうなると、足首を自在に回転させるボールジョイントの役割を果たしていた距骨が、下がったすねの骨にロックをかけられるような形になり、足首の可動域が少なくなります。
足首の動きが悪くなると、スムーズに歩けなくなり、足がつりやすくなり、怪我をしやすくなります。
弊害は足だけにとどまりません。
足は外側に力がかかり、O脚になりやすくなります。
すねの骨の間隔が広がることによって足が脂肪ではなく骨格から太くなり、すねの骨が下がることによって足首も太くなります。
足を美しく見せるためのハイヒールだったはずが、足そのものの形を悪くし体型まで変化させてしまうのです。
さらには、すねの骨が下がると、膝も歪み、骨盤も歪み、膝痛や腰痛、婦人系疾患などの原因になります。
足首と肩は対応していますので、足首の動きが悪くなると、肩も自由に回らなくなります。
少し難しかったでしょうか。
でも、専門的に理解できなくても構いません。
なぜヒールの高い靴が身体に良くないのか、どのように身体に悪影響を与えるのか、全て人体のメカニズムから説明できる明確な理由があるのだということをご理解いただきたかったのです。
女性にハイヒールを履くことを強いる社会の問題
でも、現実問題として、ヒールの高い靴を履いたほうが足は長く見えますし、オシャレで華やかになりますよね。
足に優しい靴、健康靴と呼ばれるものは、どうしてもデザイン的に野暮ったい感じになってしまうのは避けられません。
それは私も女性として、よく分かります・・・。
職場で規定がある場合もありますし、冠婚葬祭やドレスコードのある場所など、履きたくなくても履かざるを得ない場面は結構ありますね。
そんなわけで、こんな記事を書いている私ですが、実は下駄箱にはパンプスが結構入っています(笑)
普段ヒールのある靴を履かない私ですが、やむを得ない事情や、どうしてもオシャレしたい場合など、たまに履くと、やっぱり全身に不調を感じます。
ハイヒールを履いた日の翌日は、足の骨がずれまくっていて、自分でもびっくりします。
長時間履かないように気を付けても、短時間でもずれてしまうんです。
ヒールの高い靴を履かないのが本当は一番良いのですが、それではこの社会で生きていけないので、やむを得ない場合の対応策として、とりあえず私が普段心がけていることをご紹介しますね。
・最低でもミュール、ピンヒール、6cm以上のヒールは選ばない。
・デザイン的に許されるなら、甲をしっかり押さえるデザインを選ぶ。
・家から現地に着くまでの移動の間はスニーカーやそれに類する足に優しい靴を履き、ヒールの靴は紙袋などに入れて持参する。
・現地でヒールの靴に履き替えたら、なるべく座って過ごす。
・現地で足に異常を感じたら、せめて人目につかないところでは靴を脱ぎ、足指の曲げ伸ばしや足指を広げるストレッチなどをする。
・ヒールの靴を履いた日の夜は、足をしっかりマッサージし、足首をよく回す。
あんまり大した対策ではないですね(笑)
本当はヒールの高い靴を履かないのが一番なので、それを履かなければならないとなると、結局は何をやっても対症療法的なものにしかならないんです。
本当は、そろそろ社会全体が、健康に配慮されたデザインであればあるほどオシャレだという価値観にシフトしてほしいものです。
特に、履きたくないのに職場の指定やドレスコードで履かざるを得なくて、結果、身体の歪みを招くというのはいかがなものかと思います。
正直なところ、ハイヒールは現代の纏足だとさえ、私は思います!
服飾や靴をデザインする学校で、靴が骨格に与える影響までしっかり教えてほしいと切に願います。
せせらぎでは、靴や歩き方の影響で足に不調を感じている方にも、足の不調の自覚症状のない方にも、ほとんどの方に足の調整を行っています。
土台が整うことなくして、全身の歪みを根本から整えることはできないからです。
思い当る症状のある方は、是非一度せせらぎにご相談くださいね。
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