パンプス(甲に押さえがない靴)の害
「ハイヒールの害」と何が違うのかと思われてしまうかもしれません。
今日取り上げたいのは、甲が広く開いて、甲に押さえがないヒール靴=パンプスです。
バレエシューズなど甲が広く開いているぺたんこ靴も、多少当てはまります。
(※甲に押さえのあるパンプスを「メリージェーンパンプス」と呼ぶそうですが、今日の記事はメリージェーンパンプスは一応対象外ということになります。)
「ハイヒールの害」では、ヒールの高い靴が足に与える悪影響についてお話しました。
今日の「パンプスの害」では、甲が広く開いていることの悪影響をお話したいと思います。
もちろん両者に共通点は大いにはありますし、ほとんどのハイヒールはパンプスでもあるのですが、一応、
・ハイヒール=ヒールの高い靴
・パンプス=甲が広く開いて押さえのない靴
というふうに、便宜上、漠然と区別してお話したいと思います。
脱げないように甲に力が入ることが、足の変形を招く
パンプスはそもそも正装用なのだそうですね。
貴族がパーティで着飾ってご馳走など食べる時に履くだけだったのでしょう。
つま先と踵をほんの気持ち程度に覆っているだけのヒール靴でろくに歩けるはずないですよね。
でも、そのろくに歩けるはずのない靴で、通勤電車に揺られたり、お仕事でガシガシ歩かされている方もいらっしゃるというのはいかがなものでしょうか。
もっと社会全体が足の大切さと靴の害について考えてほしいものです。
さて、日常的にパンプスを履いている方の足は共通して、甲が固いです。
もうガチガチになっています。
つま先と踵だけを気持ち程度に覆っているだけのパンプスは、気を付けて歩かなければすぐに脱げてしまいます。
ミュールと違って踵が覆われていますが、それでも、後ろ足を蹴り上げる時に足を反らせれば、踵からスポっと脱げます。
ミュールなら元々踵に押さえがないので、パカパカして当然ですし、それに抵抗しようという意識は働きません。
ですが、パンプスの場合は歩くたびに踵から足がスポスポと脱げたり入ったりするのでは歩きにくいですし、脱げたら困りますし、靴擦れしたら痛いですし、みっともないですよね。
そのため、無意識のうちに「絶対に踵から脱げないように」と甲に強い力が入ってしまうのです。
地面を蹴り上げた時に足を反らせるまいと、甲に力を入れてしまい、甲が固くなってしまうのです。
こうして甲の柔軟性を失ってしまうと、歩く時に、踵から接地して足裏を体重移動して、足指の付け根で蹴り上げて足裏を反らせるという一連の足の柔軟な動作は行われなくなります。
まるでヒールのついたギプスを付けて歩いているような歩き方になってしまいます。
そのため、本来歩行時には踵から着地するべきであるにも関わらず、いきなりつま先に全体重がかかることになってしまうのです。
つま先に加重がかかる上、高いヒールによりすねの骨が下がるので、足指とすねの骨が甲の部分で押し合う状態になります。
前回のハンマートゥが起こるのと同じ状況が、今度は甲で起こるのです。
足の甲には沢山の細かい骨があるのですが、その甲の骨がずれます。
足だけに着目してご説明していますが、ここまで足の骨がずれれば、当然、足首、膝、骨盤、背骨もずれ、全身に歪みが及び、全身に辛い症状が起こります。
さらに、この甲の骨のずれの酷い方ですと、ハイアーチになります。
ハイアーチとは偏平足の反対で、甲が高すぎ、土踏まずが大きくなり、足全体が弓状なった状態で、つまり足の変形の一種です。
ハイアーチの方は、「ヒールのない靴は履けない」「素足だと歩きにくい」とおっしゃいます。
ここまでになると、もう正座もできません。
もはやヒールがないと立てないほど、骨のずれが酷く、甲が固くなっているのです。
ハイアーチは筋ジストロフィーなどの患者さんにも起こる状態で、酷い方は歩行が困難になるので、手術で治す場合もあるそうです。
ご病気ならともかく、オシャレのために履いていた靴が原因で、健康な歩行を手放すようなことがあっていいはずがありません。
オシャレには我慢がつきものと言われています。
オシャレのための薄着、オシャレのための冷え、オシャレのための締め付け・・・
・・・我慢するオシャレは全て身体に悪いものですが、中でも最も身体に悪い「我慢するオシャレ」は身体に不自然な姿勢をさせる靴だと断言できます。
どうか皆さん、少しでも身体が楽だと感じる靴を選ぶよう心掛け、オシャレのために健康な身体を手放すようなことはしないでくださいね。
すでに靴のお悩みで思い当るフシのある方は、是非一度せせらぎにご相談ください。
長年悩んできた頭痛・生理痛・腰痛・肩こりが実は靴のせいだったということはよくあることなのです。
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