仙腸関節炎と顎関節症の関係 前編

今日はお客様の施術例のご紹介です。


今回お越しくださったのは、仙腸関節炎と顎関節症にお悩みのT様です。

仙腸関節炎は10年来のお悩みだそうです。

座っているだけでも痛みがあり、痛むところに体重をかけられないので、常にお尻を浮かせたようにお尻に力を入れて座ってしまうとのこと。

デスクワークのお仕事の中、これはお辛いですね。

確かにお尻の右側にコリがあり、非常に硬くなっています。


診療科が細分化された現代医学では対応できない


仙腸関節というのは、骨盤の仙骨と腸骨の間にある関節です。

関節と言っても可動性はそれほどなく、蝶つがいとかつなぎ目と言ったほうがいい感じの関節です。

腰痛で病院を受診されたところ、レントゲンの仙腸関節のあたりが白く写り、ここに炎症が起きているということでした。


それで「仙腸関節炎」と診断名がついたものの、治療法は特になく、10年間もお悩みだったそうです。

顎関節症も病院で診断を受けたもので、長年、あごの痛みやあごのズレや歪みにお悩みということでした。


私のブログの読者様はもう察しがつかれると思いますが、骨盤と顎は対応していますので、T様の仙腸関節炎と顎関節症には明らかに相関関係があります。

どちらか片方だけを治すということは不可能ですし、治っていく時は、骨盤と顎が同時進行で良くなっていきます。


けれど、現代医学では診療科が細かく細分化されていることもあり、骨盤は骨盤、顎は顎だけにアプローチしようとするでしょう。

例えばT様の場合、あごの歪みのために、左の奥歯により食いしばりがあり、口を閉じた時、左の奥歯のほうが右より先に、強く当たっていました。

もしここで歯科がこのかみ合わせの左右差にアプローチしようと、左の奥歯の高さを削ってしまったらどうなるでしょうか。

おそらく左右の奥歯が均等に当たるようになることと引き換えに、あごの歪みも、骨盤の歪みも、一層悪化することが予想されます。

それでも、「かみ合わせが改善すれば、歯科としてはそれで良し。骨盤の痛みは整形外科に行ってくださいね」となってしまうでしょう。

これが現代医学の問題点です。


仙腸関節炎と顎関節症がどちらが先に発症したのかは、今となっては分かりませんし、大もとの原因はT様のお身体だけが知っていることです。

ただ、これらの不調に対してはトータルでアプローチしていくことが必須ですし、せせらぎの整体では常にそのようにお身体にアプローチしています。

これが現代医学ではなかなかできません。

診断名こそつけてもらったものの、T様が仙腸関節炎と顎関節症に10年もの間、何ら快方に導くアプローチを受けられなかったことに、心が痛みます。



骨盤の歪みを仙骨が受け止めた結果、仙骨が歪む


さて、施術です。


まずいつものように土台である足の歪みから順に整えていくのですが、なんと、T様の足には一切の歪みが見つかりませんでした。

これは本当にビックリでした。

私も含め、健康な方であっても大抵の方は、足やすねの骨がずれているものなのですが、ここまで歪みのない方は初めてです。

右膝が多少、左膝よりも曲がっていますが、もっと膝の歪みのひどい方もいらっしゃるので、これも許容範囲という感じです。


一方で、骨盤を拝見すると、かなりの回旋やねじれや歪みが見られました。

通常、これだけ骨盤に歪みがあれば、足が影響を受けるはずなのです。


例えば骨盤の左側が下がれば、その分左足が短くならなければ辻褄が合わなくなります。

その結果、左足の膝やすねや甲の骨などにずれが生じることで、骨盤の歪みとの辻褄を合わせている方が多いのです。

けれどT様は、かなり骨盤の歪みがあるにも関わらず、足に一切の歪みがありませんでした。


これはどういうことかと言いますと、T様の場合、骨盤の歪みを、足ではなく、それ以外の場所で辻褄を合わせているということです。


その場所とはどこか。

恐らく仙骨です。


仙骨は尾てい骨の上にある逆三角形の骨で、脊柱の土台となる重要な骨です。

この仙骨は、一枚の三角形の骨のように思われていますが、実は5つの骨が繋がって出来ています。

赤ちゃんの頃には、仙骨は5つの骨に分かれており、背骨と同じように椎間板があるのだそうですが、成長と共に一枚の骨になります。

けれど、もともとは別々の骨だったので、それぞれが背骨同様、歪むのです。


現代医学的には、一枚の骨になった仙骨の内部が歪むということはあり得ないと考えるかもしれません。

けれど、実際にはこの仙骨が歪んでいる例はかなりあります。


T様もそうでした。

骨盤の歪みが脚に影響を与えなかった分、仙骨が骨盤の歪みを受け止めて歪んでいたのです。


冒頭でお話した「仙腸関節」とは、仙骨と腸骨が面で接触しています。

このうち仙骨の形が歪めば、仙骨と腸骨の接触面に凸凹が出来てしまい、炎症を起こすと考えられます。

これがT様の仙腸関節炎の原因でした。



長くなりましたので、次回に続きます。

横浜白楽 整体処せせらぎ

身体のゆがみを整えて 心身をまるごと健やかに